歯科医師国保に関して詳しくなる。分かりやすい徹底解説

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一般開業医の歯科医院で働く者にとって、加入する可能性がある健康保険は3パターンです。

1:社会保険に付帯している【社会健康保険】

2:【歯科医師国保】

3:クリニック側で何も用意されていない場合は【国民健康保険】

 

この中でも一番分かり辛いのが、【歯科医師国保】ではないでしょうか?そこで今回は歯科医師国保を重点的に紐解いていきます。

目次

あなたは「歯科医師国保」をどれほど理解してますか?

「歯科医師国保」を徹底理解

歯科医師国保に加入できるクリニックと出来ないクリニック

就職先クリニックが各都道府県の歯科医師会に所属していることが前提となります。そのため、近年多い歯科医師会に所属していないクリニックでは加入したくても、加入することができません。

各都道府県によっても運営団体が異なりますが、東京都は歯科医師国民健康保険組合が管理・運営しており、歯科医師健保などと略されますが、全国でも一番大きな組合は全国歯科医師国民健康保険組合が保険者となり運営、管理を行っています。

しかし、当サイトでは一部分を除き、両保険ともに歯科医師国保と一括りにして明記しますので、あしからず。

歯科医師国保に加入するメリットとは?

■保険料が一律
所得によって保険料が変動する健康保険より、負担が少ない可能性があります。
※院長など一部被保険者を除く
※各都道府県で制度・額が異なる

■福利厚生が充実
予防接種・健康診断・人間ドッグなど組合員の健康を考えられたサービスが多いです。

■大きな手当て2つ
実は健康保険で給付されるもの以外で、家族療養費付加金や埋葬料付加金(約5万円)などの手当もありますが、一番多くの方が該当する可能性が高いのが、①傷病手当金と②出産手当金などの休業補償を受けることができる手当です。

①傷病手当金
業務外のケガや病気が原因で仕事を休むことになり給料が貰えない際は、被保険者と家族の生活を守るという名目で、最大1年半の期間に渡り給与の約2/3が支給されます。
これは3日以上連続して休んだ際に、4日目から支給対象となります。また入院に限らず自宅療養でも対象となりますが、欠勤時に一部の給与が支払われていたとしても、その額が傷病手当金よりも少ない際は差額分が支給対象となります。
※ 業務上や通勤途中の事故によりケガやをした際は、労災保険の扱いとなります。

②出産手当金
歯科医師健保の場合、出産手当金が支給されます。これ出産のため仕事を休んでいた期間に休業1日につき月給の約2/3が支給されるのです。手当が受給される期間は出産日の42日前から出産後の56日となり、これは保険組合から支給されるので、クリニック経営者の負担はありませんので、気にせず受けらりましょう。またこの出産手当金は社会健康保険に加入している人も受給権利はありますが、国民健康保険にはありません。

出産育児一時金:
歯科医師健保に加入している本人が出産すると、出産費の補助として、1児につき約42万円が支給されます。

家族出産育児一時金:
歯科医師健保加入者の扶養家族が出産する際も同様に一時金が支給されます。

ちなみに、この出産育児一時金は社会健康保険・国民健康保険のどちらにも付帯されているので、健康保険に加入していれば、種別を問わず条件を満たせば誰もが受給できるのです。

歯科医師国保に加入するデメリットとは?

■加入可能は4人まで
歯科医師国保は4人までしか加入できません。勤務先の歯科医院によっては、歯科医師国保に加入できずに、自ら国民健康保険に加入する必要が出てくるかも。

■自分の勤務先(歯科医院)には、保険請求できない
通常の医療機関では窓口負担は3割(他の医療保険制度と同様)ですが、自身の勤務先は例外となり保険請求ができません。

■勤務先(歯科医院)が保険料を負担してくれない可能性
健康保険の場合、勤務先が保険料を半額負担してくれますが、歯科医師国保は勤務先が保険料を負担する義務がありません。※歯科医院長の方針により、何割か負担してくれるところもあります。

■扶養家族がいる場合、扶養人数分の加入が必要
歯科医師国保には【扶養】という概念がありません。そのため扶養している方がいる場合、保険の加入には人数分が必要です。もしあなたに扶養家族がいる場合、その点が社会健康保険(社会保険では養っている家族分も健康保険がカバーされるため)と比べて劣るポイントと言えます。

健康保険料の参考例

「歯科医師国保」「社会健康保険」「国民健康保険」の保険料をそれぞれ計算しました。ご加入の参考に。

40歳未満の方
  国民健康保険(東京都平均) 社会健康保険 歯科医師国保(東京都) 歯科医師国保(神奈川県) 歯科医師国保(埼玉県)
月収50万 28,813円 24,900円 23,000円 23,700円 19,200円
月収67万 39,993円 33,864円 31,280円 23,700円 19,200円
月収100万 64,083円 48,804円 45,080円 23,700円 19,200円
40歳以上
  国民健康保険(東京都平均) 社会健康保険 歯科医師国保(東京都) 歯科医師国保(神奈川県) 歯科医師国保(埼玉県)
月収50万 34,975円 28,850円 26,250円 28,200円 23,600円
月収67万 48,373円 39,235円 35,770円 28,200円 23,600円
月収100万 77,308円 56,546円 51,450円 28,200円 23,600円

就業してからガッカリ・・という事がないよう、保険加入は収入を考慮してしっかり検討しましょう。

歯科衛生士の給与について:詳しく知りたい方>>

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