歯科医師国保とは歯科医院で働く方、およびその家族の方が加入できる組合保険です。
歯科医師国保という名前ではありますが、歯科医院で働く歯科医師以外の職種(歯科衛生士・歯科助手・歯科技工士・事務員)の方にも加入資格があります。
加入にはいくつか条件があったり、社会保険である協会けんぽとは違った特徴もあるので、詳しく見ていきましょう。
歯科医師国保の被保険者はいくつかの種別に分かれており、その種別ごとに保険料が異なります。
どこの歯科医師国保でもおおよそ下記4つのパターンに分かれ、上にいくほど保険料は高く設定されていることが多いです。
①管理者(院長など)
②被雇用者(勤務医)
③被雇用者(歯科医師以外の職種)
④組合加入者の家族
協会けんぽの保険料が標準報酬月額に対する一定の割合であるのに対して、歯科医師国保は被保険者種別ごとに一定です。
つまり、歯科医師国保は年収が高いほど収入に対する保険料が小さくなるため、給料の天井が高い歯科医師は恩恵を受けやすいと言えます。
協会けんぽなどの社会保険の場合は労使折半のルールがあり、勤務先医院が保険料の半分を負担します。
これに対して歯科医師国保の場合は、雇用主である歯科医院側に労使折半の義務はありません。
そのため転職先の歯科医院が歯科医師国保である場合は、保険料の負担が全額なのか半額なのか確認しておくべきでしょう。
また、歯科医師国保には扶養という概念がありません。
そのため扶養家族を持つ方が、社会保険の歯科医院から歯科医師国保の歯科医院に転職すると負担額が増える可能性があるので注意が必要です。
扶養家族が増えるとそのまま保険料が増加します。
加入条件の項目にもあった通り、歯科医師国保は「個人開業でかつ常勤従業員5人未満の医院」しか加入することができません。
法人認可を受けていたり常勤従業員5人以上の事業所は社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務になっているためです。
ただし、元々歯科医師国保に加入していた医院が新たに法人化したり、新しく従業員が加わったことによって5人以上になった場合は社会保険の適応除外を受けることができます。
こうして除外受けた場合でも厚生年金に加入義務があることは変わりません。
医療保険によって、保険適用の治療については自己負担額3割で受けられるのが通常です。
しかし、歯科医師国保の場合は自分が所属する歯科医院で治療を受けた場合に保険請求することができません。
保険請求を行いたい場合は勤務先以外の歯科医院で受診しなければなりません。